NEEDY GIRL OVERDOSE
https://www.youtube.com/watch?v=itJZUTWsEw4&feature=emb_imp_woyt
ジャンル : シミュレーション, 育成, ポイント&クリック
リリース : 2022年1月
デベロッパー :WSS playground, xemono
パブリッシャー : WSS playground
01/23
どっかのメディアのリリース情報を見てなんかやばそうなゲームだなと思い、前もって Steam のウィッシュリストに入れて待っていたゲームが無事発売されたのでやってる。
あめちゃんという女性のストリーマーを育成するゲームで、現実にそういう配信をしてる人たちに見え隠れする闇が生々しく、おもしろいって言っちゃっていいんだろかっていう罪悪感もあるんだけど、おもしろい。他にも細々とした SNS や チャットのテキストがいちいちリアルなのも強度が高いというか。
ゲーム中にフォロワーから送られてくるファンアートが実際に Twitter で募集されていたものだったりもする。
ゲームとしては、コミュニケーションや配信を通してのストレスとか好感度のステータスを管理しながら、ゲーム内での30日間を走り切った時どういう状態かでエンディングが変わるもので、1周1~3時間くらいだと思う。
最初のプレイでは普通に計算抜きであめちゃんに向き合ったロールプレイをしたところ、ストレスも闇も少なくフォロワー数は程々のままで終わり、その後彼女は配信から足を洗って、自分も振られてしまうという「Labor is evil」エンドになり、「健康に生きることが彼女の幸福に見えましたか?」というダイアログを突きつけられてしまった。
https://i.gyazo.com/00169160ae97a0c43e5fd4c658a323bb.jpg
2周目以降は他のエンディングを探る感じでいろいろ試しながらやってるんだけど、どんどんあめちゃんにエゴサさせたり薬を過剰に処方したりと、感情なく痛みを与えていく感じになっていくのが怖いし、真面目にいろいろ考えさせられるゲームだと思います。
あの辺の配信的なネット界隈のノリがどうしても無理でなければおすすめ。
01/30
一応トゥルーエンドとされているらしい 「Do You Love Me?」エンドと、それによって開示されるヒントでたどり着ける「Happy End World」エンドに到達できたので、残りの半分くらいのエンディングは攻略サイトで条件をカンニングしながらコンプリートして、最後の最後のエンディングも見ることが出来た。
2周目以降はあめちゃん(育成対象のキャラ)がいくらぶっ壊れようと、淡々とストレスを与えまくる作業的なプレイになっていき、その辺のエグみに対して麻痺しかけたりもしてしまったのだが、そんな風に遊んでいる最中にリリースされた IGN Japan の今井氏によるレビュー で提起されていた問題点(ゲームの進行上不健全なものになっていくプレイヤーの振る舞いや背景の文化そのものの加害性を自覚させる契機のなさ、「女性の配信者」という表象を利用しながらフェイクな次元でしか描けてない点、育成シムが本質的に持ってる権力性に対する批判のなさ…など)はその通りというか、プレイしたら自戒も込めて表明しておきたい点ではあるかなと思う。
深い内省とまではいかないまでも、配信カルチャーというかインターネットにパーソナリティを晒した時に向けられる加害性ついて、流石にこのゲームをやっていて何も考えないってことは無いと思うんだけど、単に露悪的なものを消費する感じで終わらないようなゲームとしての仕組みは必要なんだろう。
結局プレイヤーはあめちゃんを救う存在でもないし、何がその人にとっての幸せかだとか痛みかなんてのも、他人が規定して押しつけるものでもないけど、だからって開き直ってんじゃねえよ…みたいな、このゲームを通じて今の社会にもやもや思った事は、たまたま今読んでいる空木春宵の短編集『感応グラン=ギニョル』内の『徒花物語』に出てきたテキストとめちゃくちゃリンクしたので、今のムードなのかも。
けれども、一体誰に判る?
他者の抱えている痛みが、どれほどのものかなんて。
判らないならば、それで良い。判ろうともしないならば、それでも良い。
ただし、それならば、わたしの躰は、わたしのモノだ。躰の痛みも、わたしのモノだ。